アバスチンの眼内投与

●アバスチンの眼内投与
●ボトックス療法
●眼底3次元画像解析

 

アバスチンの効果

 アバスチン(一般名:ベバシズマブ)という薬は、血管の新生、成長を活性化する血管内皮増殖因子(VEGF)という物質に対する抗体です。VEGFの働きを抑制し異常な血管の増殖や成長を抑える薬です。眼内の新生血管が原因となっている加齢黄斑変性や糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、血管新生緑内障などの発症、増悪にはVEGFが大きく関与していると言われています。

この薬はVEGFの作用を抑え、新生血管の増殖、成長を低下させます。その結果、これらの疾患に対する治療効果が期待できます。また、VEGFは血管の透過性を亢進させ、網膜の浮腫(むくみ)を起こす働きもあり、アバスチンは糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症による網膜浮腫に対する治療効果も期待されます。

使用方法

 VEGFは正常な血管新生に際しても重要な物質であるため、眼以外の場所にアバスチンができるだけ作用しないようにすることが必要です。そこで内服や点滴ではなく眼に直接注射する方法を用います。

当院では原則として手術室で十分な洗眼消毒の下、局所麻酔下で行います。30ゲージという極めて細い注射針を用いて眼球内に注射します。痛みはほとんどなく(あっても軽度、瞬間的なもの)、極めて短時間で終了します。

効果はおよそ3ヶ月(硝子体手術後では1ヶ月)程度持続し、その後の眼の状況により継続投与を要する場合もあります。

副作用

  この薬の眼内投与による副作用は極めて低率(いずれも0.07%以下)ですが、注射時の疼痛、水晶体損傷、眼内炎(感染)、網膜裂孔、眼圧上昇、眼内の炎症(ぶどう膜炎)などがあります。
また、女性では生理不順、不正性器出血の報告があり、一定期間の避妊が必要となります。  

 

費用について

  この薬は本来、結腸・直腸癌に対する治療薬として開発・承認されたものです。眼科疾患への使用に関しては現在、どの国でも承認されていません。海外では同じような効果を持った薬剤が加齢黄斑変性治療薬として承認されていますが(日本では未承認)、こちらは1回の投与に約20万円(薬剤費のみで)の費用が必要になります。

アバスチンは1回およそ1000円位の薬剤費で済み、同等の効果が認められるため、現在多くの国で本剤の眼内投与が「適応外使用」として行われています。 「適応外使用」であるため、保険の適応はありません。薬剤の副作用などに関しても製薬会社の責任などを問うことはできず、あくまで担当医と患者さんのあいだでの十分な理解の下に行われる治療です。

当院ではアバスチンを個人輸入し、その治療効果が期待できる病態の患者さんに対し、この治療法をご紹介させていただくことがあります。この薬の投与に対する費用(薬剤費、処置代)は当院が負担しますので、その分のみは無料です。

万一、副作用や併発症が生じた場合は通常の保険診療による対処が可能です。 この薬の適応となる疾患やその病状は、他に有効な治療がないものや、従来の治療では十分な効果が得られなかった難治性のものが主となります。担当医から十分な説明を受け、十分にご理解をいただいた上で本治療を希望される方はお申し出下さい。

 

  ボトックス療法
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●ボトックス療法
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ボトックス(BTX)療法とは

 ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンを注射して、緊張している筋肉を麻痺させ、筋肉の緊張によって起こる眼瞼けいれんや片側顔面けいれんの症状を改善する治療方法です。ボツリヌス菌は食中毒の原因として知られているため、不安に思われるかも知れませんが、規定の講習実技セミナーを受講した医師が正しく使えば、決して危険な薬ではありません。

このボツリヌス療法は、欧米など海外では広く行われており、すでに世界で数百万人の方がボトックス療法をうけて有効性も確認されています。現在日本では眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸のみに対して承認されている治療方法です。

ボトックスの使用方法

 ボツリヌス療法は、緊張している筋肉に希釈したA型ボツリヌストキシンを直接注射するという方法で行われます。入院する必要はありません。当日は入浴や激しい運動はできませんが、翌日以降は、これまでと同じように過ごすことができます。ただ、この薬は病院では保管できず、規定の講習実技セミナーを受講した医師が必要な分量を報告した上で、必要な分だけが病医院に届けられるという厳しい手続きで使用される薬なので、いつでもすぐに治療できるわけではありません。

効 果

  この治療の効果は、治療当日にはほとんど効果は現れませんが、2、3日から2週間程度で徐々に効果が現れ安定します。通常は3〜4ヶ月しますが、その後、時間の経過と共に徐々に効果が消失します。安定した治療効果を維持するために、効果がなくなったら、再度治療を行います。効果の持続性については、個人差がありますので、定期的な受診が必要になります。

副作用

・ まぶたが閉じにくくなる
・ まぶたが開きにくくなる
・ 顔面麻痺
・ 頭痛
・ 物が飲み込みにくくなる
・ 倦怠感

※ これらの副作用の多くは、薬の作用が予想以上に強く表れた結果と考えられるもので、薬の効果が弱まるとともに回復しています。 このような副作用の他にも、副作用が現れる可能性がありますので、具合が悪くなった場合や、少しでも不調な事が出てきた場合には、医師に相談して下さい。

● 当院のボトックス外来

 当院では、副院長の吉野がボトックス療法を担当しております。 診察につきましては、予約は行っておりませんので、外来担当日にご来院ください。 診察の後、治療内容、薬の使用量を決定し、注射予定日を予約し、数日から2週間後、医療機関に薬が届けられてはじめて、治療が受けられます。

なお、この薬は使用する前の準備が必要な上、医療機関に長時間保存することもできませんので、予約した治療日時は、必ず守るようにしてください。

 

  
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●ボトックス療法
●眼底3次元画像解析

 かねてより当院では先進医療施設として、光干渉断層計(OCT)を用いた眼底3次元画像解析による眼底検査を行って参りましたが、平成20年4月より、診療報酬点数に収載されましたので、患者様の費用負担が大きく減ることになりました。

OCT検査(眼底3次元画像解析)眼底3次元画像解析では、これまでの眼底検査では行えなかった、眼底の立体的、断面的情報を迅速かつ低侵襲で数値的解析することができ、得られた情報から病態のより深い理解や疾病の診断精度の向上が得られます。 治療の適応・効果判定・経過観察に非常に有用で、実際の測定では、患者様にレンズを覗き込んでもらい、点滅する光の点を数分見てもらうだけで検査は終了します。もちろん、痛みや眩しさなどの苦痛は一切ありません。

適応疾患:加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑上膜、緑内障

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