はじめに

現在、コンタクトレンズの使用者は、1000万人を越すといわれています。 使い捨てソフトコンタクトレンズ、遠近両用レンズ、乱視用レンズをはじめ、最近ではファッション性の高いカラーコンタクトレンズなど、今後使用する人は益々増えていくと予想されます。一方で、コールド消毒、つけおき洗浄システムなどの登場とともに、コンタクトレンズによる障害も変化し、急増しています。そこで、最近よくみられる眼障害を中心に紹介したいと思います。

角膜上皮障害

1.点状表層角膜症

ハード系コンタクトレンズ装用者に最も多くみられる眼障害です。多くの場合、レンズを一晩はずすだけで治りますが、時には角膜上皮びらん、角膜浸潤、角膜潰瘍、眼内炎へと進展し、重症化する可能性もあります。自己判断せずに、目に異常を感じたらすぐにレンズをはずし、眼科受診をして下さい。


a. 角膜の左右外側及び結膜上皮障害を伴う場合

主にハード系コンタクトレンズ装用者に発症し、長期に継続すると角膜血管新生、角膜白斑をまねいたり、まれに角膜浸潤や角膜潰瘍に移行することもあります。発症原因は、局所の乾燥とレンズエッジによる機械的なこすれによるものが多く、レンズのデザイン、フィッティング、汚れ、傷、涙液などのさまざまな要因が影響しています。対策としては、適切なレンズのフィッティング・レンズ周辺部のデザイン・レンズ径・レンズ材質・洗浄方法等の変更、場合によってはソフトコンタクトレンズへの変更も考えます。


b. 瞳孔領下方(黒目と茶目の境下方)の場合

主にソフトコンタクトレンズ装用者にみられ、多くは無症状ですが、夕方になると乾燥感や異物感を自覚することもあります。発症原因は、局所の乾燥が原因であり、高含水性ソフトレンズの装用、連続装用、ドライアイなどの人に多く、レンズの汚れが症状を悪化させる原因にもなっています。対策としては、連続装用の中止、人工涙液の頻回点眼、毎日使い捨てタイプのレンズ又は、低含水性の頻回交換タイプのレンズに変更することにより症状は軽減します。


c. 角膜上方の輪部に沿った弓状の場合

結膜の充血、角膜血管新生を合併することにより、重症化すると、角膜上皮びらん、角膜浸潤、角膜潰瘍へと進展します。発症原因は、レンズのカーブが角膜に合っていない、大きな直径のソフトコンタクト、汚れたソフトコンタクト、変形したソフトコンタクトなどの装用者、ドライアイや煮沸消毒を実施している人にも多く見られます。対策としては、レンズのカーブ・種類の変更、連続装用の中止、クリーナーによるこすり洗いとコールド消毒に変更します。

2.角膜潰瘍

一般的には、点状表層角膜症、角膜上皮びらんから角膜浸潤が生じ、角膜潰瘍へと進展します。角膜潰瘍の原因としては、ヘルペスウイルスによるものが最も多いのですが、コンタクトレンズによる角膜潰瘍は細菌や真菌によるものが多く、不適切なレンズの取り扱いやレンズケースの汚染が考えられます。ソフトコンタクトレンズ使用者に発症頻度が高く、近年では毎日使い捨てタイプや頻回交換タイプのソフトコンタクトレンズ使用者にも増えてきています。対策としては、レンズケアを使用方法にそって、毎日しっかりと行う。レンズケースも洗浄し、定期的に交換する。

コンタクトレンズによる巨大乳頭結膜炎

巨大乳頭結膜炎は、上まぶたの裏側にブツブツが生じ、装用感の悪化や、目やに、かゆみを伴うもので、主にソフトコンタクトレンズ装用者に多く見られていましたが、最近ではハードコンタクトレンズを装用している人も増えてきています。コンタクトレンズによる巨大乳頭結膜炎は、通常、コンタクトレンズの装用を中止すれば症状は改善します。発症原因はレンズの汚れで、連続装用、つけおき洗浄、煮沸消毒、ドライアイ、などによりレンズの汚れも非常に早くなります。対策としては、清潔なコンタクトレンズを装用するだけでほとんどの症例が軽快します。煮沸消毒であればコールド消毒への変更、つけおき洗浄であれば洗浄液によるこすり洗いへの変更、装用時間の短縮、連続装用の中止、必要に応じて毎日使い捨てタイプや頻回交換タイプのソフトコンタクトレンズか酸素透過率の低いハードコンタクトレンズに変更します。

コンタクトレンズによる酸素不足

コンタクトレンズ装用により、角膜が低酸素状態になると、角膜上皮に浮腫を生じます。さらに進展すると、角膜実質浮腫を生じ、慢性化すると、角膜血管新生や、角膜混濁を合併します。

a. 急性角膜上皮浮腫

主に、酸素透過率の低いタイプのハードコンタクトレンズを長時間装用したり、連続装用をしている人に多く発症します。ソフトコンタクトレンズ装用者にもまれに発症しますが、発症した場合はハードレンズに比べて広範囲に生じますので、低含水性タイプのソフトコンタクトレンズを装用している場合は、注意が必要です。発症原因は、コンタクトレンズの汚れも関与していますが、急性の酸素不足が主な原因でコンタクトレンズをはずした直後か、数時間後に発症します。激しい眼痛、流涙、充血、異物感などの症状が現れ、びまん性点状表層角膜炎や虹彩毛様体炎を伴うこともあります。


b. 角膜血管新生

角膜は本来血管はありませんが、浮腫、炎症、慢性の酸素不足などに伴い、角膜周辺部から中央部に向かって新生血管を生じます。長期間のソフトコンタクトレンズ装用者に多く発症し、特に近視度数が 強い場合や、低含水性のソフトコンタクトレンズ、厚いデザインのソフトレンズ、大きな径のソフトレンズ、レンズと目のフィッティングが合っていない場合などで生じます。ハードレンズ装用者でも適正なフィッティングでない場合に生じることもあります。対策としては、酸素透過率の高いハードレンズを適正なフィッティングで処方してもらうこと。どうしてもハードレンズへの切り替えができな い場合には、高含水性で薄いデザインの毎日使い捨てタイプか頻回交換タイプのソフトレンズに変更し、コールド消毒とこすり洗いをしっかりとします。初期の角膜血管新生では、上記により消失しますが、中等度以上の場合には、完全に消失させることは困難になります。


c. 角膜内皮細胞障害

角膜内皮細胞は角膜の透明性を維持するために重要な細胞です。この細胞は細胞分裂をしないため、加齢と共に減少するといわれています。強度近視の長期ソフトコンタクトレンズ装用者に多く見られることから、近視度数が強いほどレンズの装用時間や装用期間が長くなったり、レンズ周辺部が厚くなるため酸素透過率も低下し、角膜内皮細胞の減少に関与しているものと推測されています。


レンズケア用品による眼障害

最近ではコールド消毒や付けおき洗浄が多く使用されているため、これらのケア用品による眼障害が急増しています。レンズケア用品に含まれる薬剤及び防腐剤による細胞毒性やアレルギー反応、レンズケースの汚染が原因となった眼障害、ケア用品の誤った使用方法による眼障害などがあります。代表的なものでは一液タイプのコールド消毒液に含まれる成分によって引き起こされるアレルギー反応、過酸化水素を使用したタイプでの中和のし忘れによる角結膜上皮障害、レンズケース内の細菌汚染による急性結膜炎などがあります。一液タイプのコールド消毒液を使用すると、目にしみた感じがする、充血するなどの症状がある場合には、過酸化水素タイプの消毒液に換えてみて下さい。消毒前のこすり洗いと、レンズケースの洗浄・乾燥・定期的な交換を行うようにして下さい。コールド消毒液を使用しながら水道水や井戸水でのすすぎはやめて下さい。

 
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