眼球運動神経障害によって現れる症状

正常な視機能の成立には、脳の判断に沿って眼球を的確に動かすことが必要です。例えば、両眼を連動させ常に同じ視野をとらえていなければ、物が二つに見えてしまいますし、正確な立体感も得ることが出来ません。
これらは脳が出す指令が「眼球運動神経」を介して眼球周辺の筋肉に伝わることで可能になります。
眼球運動神経には、眼を下に向ける「滑車神経」、眼を外側(耳側)に向ける「外転神経」、眼を上や下、内側(鼻側)に向けたり、まぶたを開けたり、瞳孔の大きさや水晶体の厚さを加減する「動眼神経」の三つがあります。これらの神経に障害が起きると、次のような症状が現れることがあります。


物が二つに見える
片方の眼の神経が麻痺すると、両眼の視線が一致しなくなり、物が二つに見える「復視」が起こります。麻痺になった直後は右眼と左眼の視野がずれたまま重なってしまうので、何がどう見えているのかわからなくなる「混乱視」の状態になりますが、そのあとすぐ、物が二つ見えていることに気づくようになるのです。

まぶたが開かない
動眼神経が麻痺すると、まぶたが下がったままで開けられなくなる「眼瞼下垂」が起こることがあります。

その他
動眼神経麻痺によって、瞳孔が大きく開いたり、水晶体の厚さを加減出来ずにピントを調節しにくくなることが有ります(瞳孔の異常は自律神経障害でも起こります)。いずれも自覚症状は軽く、多少見え方がおかしいと感じる程度です。

眼球運動神経が傷害される主な原因

以上のような症状を引き起こす眼球運動神経障害の原因としては、主に次のようなものがあげられます。


血流障害
神経を養っている血管のどこかで、手足の麻痺などが現れない程度の軽い梗塞や出血などの血流障害が起きると、眼の動きだけが障害されます。血流障害としては小規模なものですから、別の血管が太くなって補ったり、新たな血管ができたりして神経が再生されやすく、3〜6ヶ月たてば約7割は回復します。

炎症
神経に炎症が起きて生じた眼の動きの異常は、程度にもよりますが、ほとんどは後遺症もなく治ります。治療にはステロイド薬などが使用されます。

腫瘍
脳内にできた腫瘍が神経を圧迫したりすることにより、眼球の動きを障害します。眼を外側に向かせる外転神経の麻痺は、腫瘍によるものがやや多い傾向にあります。治療は主に脳外科で行われます。

外傷
頭に衝撃を受けたときに神経が傷つけられ、眼を動かせなくなる事があります。特に滑車神経が障害されやすく、その場合、物が上下方向にずれて二つに見えます。ずれる量は通常ごくわずかなのですが、上下方向の復視は横方向の復視に比べて自覚症状が強く感じられます。腫瘍や外傷による神経の障害は、他の原因の場合に比べて回復がややよくありません。

動脈瘤
動眼神経麻痺の原因で注意が必要なのは、脳内の動脈瘤です。動脈瘤が大きくなって神経を圧迫するために起きるもので、瞳孔の拡大や眼瞼下垂などが現れます。破裂すると生命に関わりますから、脳外科での早急な診断と治療が必要です。


眼科での治療は対処療法が中心

病気の原因が末梢神経であっても中枢神経であっても、まず原因療法を行います。時にはそれと並行し、対症的な治療を行います。


プリズム眼鏡
プリズムで光を屈折させて、視線のずれを補正する方法です。

眼帯
異常がある方の眼に眼帯をして、物が二つ見える状態を改善し、病気の回復を待つ方法もあります。

斜視手術
後遺症として復視が残った場合の治療法としては、斜視手術があります。眼を動かす筋肉の位置や強さを調節し、両眼の視線のずれを解消する手術です。

目の病気一覧へ
| HOME | 外来・入院のご案内 | 施設のご案内 | 院長のメッセージ | 医師の紹介 | メガネ&コンタクト | アクセスMAP |
| 目の病気一覧 | 症状から考えられる眼疾患 | 目の常識あれこれ | オルソケラトロジー | ボトックス療法 |
(c)2007 WAKABA Eye HOSPITAL All rights reserved.