1.点状表層角膜症
ハード系コンタクトレンズ装用者に最も多くみられる眼障害です。多くの場合、レンズを一晩はずすだけで治りますが、時には角膜上皮びらん、角膜浸潤、角膜潰瘍、眼内炎へと進展し、重症化する可能性もあります。自己判断せずに、目に異常を感じたらすぐにレンズをはずし、眼科受診をして下さい。
a. 角膜の左右外側及び結膜上皮障害を伴う場合
主にハード系コンタクトレンズ装用者に発症し、長期に継続すると角膜血管新生、角膜白斑をまねいたり、まれに角膜浸潤や角膜潰瘍に移行することもあります。発症原因は、局所の乾燥とレンズエッジによる機械的なこすれによるものが多く、レンズのデザイン、フィッティング、汚れ、傷、涙液などのさまざまな要因が影響しています。対策としては、適切なレンズのフィッティング・レンズ周辺部のデザイン・レンズ径・レンズ材質・洗浄方法等の変更、場合によってはソフトコンタクトレンズへの変更も考えます。
b. 瞳孔領下方(黒目と茶目の境下方)の場合
主にソフトコンタクトレンズ装用者にみられ、多くは無症状ですが、夕方になると乾燥感や異物感を自覚することもあります。発症原因は、局所の乾燥が原因であり、高含水性ソフトレンズの装用、連続装用、ドライアイなどの人に多く、レンズの汚れが症状を悪化させる原因にもなっています。対策としては、連続装用の中止、人工涙液の頻回点眼、毎日使い捨てタイプのレンズ又は、低含水性の頻回交換タイプのレンズに変更することにより症状は軽減します。
c. 角膜上方の輪部に沿った弓状の場合
結膜の充血、角膜血管新生を合併することにより、重症化すると、角膜上皮びらん、角膜浸潤、角膜潰瘍へと進展します。発症原因は、レンズのカーブが角膜に合っていない、大きな直径のソフトコンタクト、汚れたソフトコンタクト、変形したソフトコンタクトなどの装用者、ドライアイや煮沸消毒を実施している人にも多く見られます。対策としては、レンズのカーブ・種類の変更、連続装用の中止、クリーナーによるこすり洗いとコールド消毒に変更します。 |