正常な視機能の成立には、脳の判断に沿って眼球を的確に動かすことが必要です。例えば、両眼を連動させ常に同じ視野をとらえていなければ、物が二つに見えてしまいますし、正確な立体感も得ることが出来ません。
これらは脳が出す指令が「眼球運動神経」を介して眼球周辺の筋肉に伝わることで可能になります。
眼球運動神経には、眼を下に向ける「滑車神経」、眼を外側(耳側)に向ける「外転神経」、眼を上や下、内側(鼻側)に向けたり、まぶたを開けたり、瞳孔の大きさや水晶体の厚さを加減する「動眼神経」の三つがあります。これらの神経に障害が起きると、次のような症状が現れることがあります。
●物が二つに見える
片方の眼の神経が麻痺すると、両眼の視線が一致しなくなり、物が二つに見える「複視」が起こります。麻痺になった直後は右眼と左眼の視野がずれたまま重なってしまうので、何がどう見えているのかわからなくなる「混乱視」の状態になりますが、そのあとすぐ、物が二つ見えていることに気づくようになるのです。
●まぶたが開かない
動眼神経が麻痺すると、まぶたが下がったままで開けられなくなる「眼瞼下垂」が起こることがあります。
●その他
動眼神経麻痺によって、瞳孔が大きく開いたり、水晶体の厚さを加減出来ずにピントを調節しにくくなることが有ります(瞳孔の異常は自律神経障害でも起こります)。いずれも自覚症状は軽く、多少見え方がおかしいと感じる程度です。 |