1.円錐角膜
円錐角膜は角膜の先端が飛び出してくる病気です。これは、先天異常で10~20才頃に始まって、次第に突出が強くなります。まれに、ある程度突出して止まることもあります。角膜の中心部が飛び出すことにより、だんだんと視力が落ちてきます。ハードコンタクトレンズを入れることにより、ある程度までの視力を得ることができますが、もっと突出が強くなるとコンタクトレンズが入らなくなります。さらに強くなると、角膜の中央が非常に薄くなって、ついには孔があいてしまいます。このような進行性の場合には、角膜移植手術を行います。
2.顆粒状角膜ジストロフィー
常染色体優性遺伝で、20才頃から始まって両眼の角膜に小さな濁りができ、年齢と共に濁りが増えてゆきます。角膜周辺部に濁りができても視力障害は起こりませんが、瞳孔の前の角膜に濁りができると視力が低下します。特別な治療法はなく、視力が非常に悪くなった場合には、表層角膜移植という手術を行います。
3.斑状角膜ジストロフィー
常染色体劣性遺伝で、3~9才頃に角膜の中央部の実質の表層に大型の混濁が出始め、刺激症状の発作を繰り返しながら、10才代には角膜全体に混濁が広がり、20才代でほとんど見えなくなります。
4.格子状角膜ジストロフィー
常染色体優性遺伝で、2~7才頃に、角膜に格子状をした線状の混濁が出始めて、次第に上皮と深層とへ進み、20才代では視力障害が高度になります。しばしば、上皮びらんができるので痛みや充血を繰り返し起こします。
5.糸状角膜炎
角膜上皮の再生がうまくゆかなくて、糸状にぶら下がっているものをいいます。そのままにして置くと、まばたきをする度に引っ張られて痛いので、除去します。涙液分泌が減少している場合によく起こりますが、原因不明のこともあります。
6.びまん性表層角膜炎
角膜上皮に小さい点状の傷(びらん)がたくさん発生し、灰をまいたような薄い濁りが広がる(びまん性)病気です。眼がゴロゴロする異物感があり、眩しく、視力も低下してきます。紫外線、乾燥、さかさまつげなど、原因のはっきりしていることもありますが、原因がわからないこともあります。治療は、ビタミンB2をはじめ、色々な栄養剤の点眼を行います。
7.フリクテン性角膜炎
角膜に灰白色の粟粒大の濁りができる病気です。初めは角膜と眼球結膜の境界に発生することが多く、次第に角膜の中心部にむかって広がることもあります。濁りのまわりの眼球結膜が充血し、眼がゴロゴロする異物感があります。原因はアレルギー反応と考えられています。治療は、副腎皮質ホルモン剤の点眼を行います。
8.表在辺縁角膜炎 (カタル性角膜潰瘍)
角膜の周辺部に、はじめは点状の混濁ができ、それが融合して浅い傷(潰瘍)を作る病気です。潰瘍と結膜との間に透明な部分があるのが特徴で、アレルギーによって起こっています。結膜炎のある時によく出現し、黄色ぶどう球菌の毒素によるアレルギーのことが最も多いといわれています。治療は、抗生物質の点眼、場合によっては副腎皮質ホルモン剤の点眼を行います。
9.細菌性角膜潰瘍
角膜が傷ついたり、抵抗力が弱まって細菌感染をおこし、組織の表面が削れ、深くえぐれてくる病変です。感染をおこす細菌は、肺炎球菌、ぶどう球菌、連鎖球菌、緑膿菌など様々ですが、ときに真菌のこともあります。涙っぽい、まぶしい、激しい眼痛、結膜の充血などの症状があり、進行と共に潰瘍がしだいに大きくなると、眼痛もより激しくなります。
原因となる細菌を検査し決定するには時間がかかるので、ただちに色々な種類の細菌に有効な広範囲抗生物質を使用します。しかし、真菌や耐性菌の感染が原因のときには抗生物質が効きません。角膜潰瘍は、いろいろな原因でおこりますが、もっとも多く、失明の危険性さえあるのが、この細菌性角膜潰瘍です。
10.電気性眼炎(雪眼)
角膜の一種のやけどで、電気溶接や殺菌灯の紫外線の他、雪から反射される紫外線に長時間角膜をさらしていたときに起こります。眼の中がごろごろする、まぶしい、物が見えにくいという症状と共に、 激しい眼の痛みが起こります。
ビタミンB2やグルタチオンの点眼を行えば、急速に治ってしまう事が多いものです。スキーや海釣り、溶接作業などの強い紫外線を浴びるときは、UVカット(紫外線カット)のサングラスや保護眼鏡などを使用しましょう。
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